ヒガシノメーコ記

ヒガシノメーコのエッセイや漫画。【毎週 月曜日(イラスト・漫画)】と【隔週 土曜日(エッセイ)】を更新。

バレンタインを振り返ろう

(今回、はじめてはてなブログのお題記事に挑戦してみます。…今週のお題「チョコレート」)

 

明日はバレンタイン。買い物をするために街に出ると、スーパーも100円ショップもデパートも、どこもかしこも人で溢れている。カフェやレストランではチョコレートドリンク、チョコレートデザートなど、チョコレートが主役となったメニューがアピールされ、どれも美味しそうでたまらない。

そんな中、わたしもデパートでささっとチョコレートをいくつか買った。日頃お世話になっている人にあげるためだ。

 

わたしは栄養や調理を学ぶ短大の出なのだが、料理が苦手である。なかでも、お菓子作りは特に苦手だ。中学生、高校生のときは、周りの友人らの影響を受けてバレンタインのお菓子作りに勤しんだりもした。けれど、よく考えればあのときは母のサポートもあったから、無事完成までこぎつけられたのだろう。しかし成人を迎えて以降、20歳を過ぎてから挑戦したお菓子作りはことごとく失敗している。

ちゃんと膨らまないカップケーキ。まとまりのないポロポロのクッキー。全然固まらないチョコレート―――辛うじて成功しても、何だか見た目が残念なお菓子たちばかりが生まれてしまうのである。

 

それもそのはず。わたしは栄養成分等を学んでいた学生だったにも関わらず、材料を測る際は「大体の分量」で。しかも、砂糖の代わりに人工甘味料(パルスイート)を使う、などというトンデモなお菓子作りをしていたのだ。

お菓子作りは分量通り、決められた工程・時間の通りに作るのが鉄則。じゃなきゃ、膨らむものも膨らまず、固まるものも固まらないのだ。当然、人工甘味料なんて使っていたら、思い通りのテクスチャー・形状になるはずがない。(これらのエピソードは、わたしが短大でちっとも授業を聞いていなかったことを端的に表すエピソードである…)

 

そんな風なお菓子の極意についてはいい加減理解しているつもりなのだけど、やっぱりわたしはお菓子作りに苦手意識があった。そもそも料理やお菓子を作るのが好きかどうか、と聞かれれば別にそこまで好きではないので、ある意味仕方のないことだとは思うのだけど。ただ、毎年バレンタインになると一応”チョコレートを作るかどうか”について考えるのだった。

 

しかし、今年はもうそんなことに悩むことなく、デパートに直行した。こういうご時世もあってか、今年はお菓子を作るとかそういう気分じゃなかった。ここはプロに任せましょう…とデパートに行き、無事美しくラッピングされたチョコレートたちを購入するにいたったのである。チョコレートメーカー・ブランドの皆様、今年もたくさんチョコレートを作ってくれてありがとう。

 

 

ところでバレンタインというのは、誰しもが一つや二つ甘い思い出があるのだろうか?わたしは特段、甘酸っぱい思い出というものはないのだけど、小学校時代、学校では複数の男子にチョコレートをあげるのが主流だったことを思い出した。バレンタインの夜、日ごろ仲の良かった男子の家をはしごしてチョコレートを届けに行くのである。恥ずかしいときは、男子の家のドアノブにチョコレートの入った袋をかけて帰ったりもした。(きっとあのあと、わたしの母が男子の親御さんに電話を入れてくれたのかも)今考えるとちょっとすごいけれど、本命とか義理とか、その辺にあまりこだわりのなかった小学校時代はそういったバレンタインを過ごしていた。

 

ちなみについ先月、小学校時代にバレンタインのチョコレートを献上し続けていた男子の一人と、オンライン飲みで十数年振りに顔を合わせることになった。ひょんなきっかけでオンライン飲み会(人生初)に参加することになったのだが、そのとき友人の一人がその男子を呼んでくれたのである。

彼の顔を見たとき、わたしは、

「こ、これが、かつてわたしがバレンタインにチョコをあげていた男子か…」

―――と思った。…そこにどんな感情が含まれていたのか、詳しくは話さない。ただ、わたしも彼もだいぶ違う場所で、違う人生を歩み、大人になっていて、もう互いに30歳(になる、わたしは来月に)。いろんな年の取り方があるなと、少しだけ感慨深くなったとだけ言っておく。

 

 

そんなわけで、今や日頃お世話になっている方にお礼のチョコを贈呈する機会となっているバレンタインが、今年もやってくる。ワクワクドキドキは全部食欲に変換し、本日の昼食はチェーン展開するカフェでホットサンドと、チョコレートドリンクと、チョコの挟まったワッフルをいただいてきた。……甘い、甘すぎる。終わりのない甘みの海に、隣席の人が啜っているブラックコーヒーを恨めしげに見てしまった。しかし、まあ、これがバレンタインなんだな。とてつもなく甘いそれらをすべて平らげると、急上昇する血糖値に想いを馳せながら、わたしは仕事をするために家に戻った。

 

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